ヴェルギナの太陽

  • ゲームデザイン:N2
  • アートワーク:福井和也
  • プレイ人数:2人 or 4人
  • ゲーム要素:カードドリヴン、カードアクション式のタクティクスゲーム

-もはや一刻の猶予もならぬ。最前には一城の虜と封じ込めた筈の男に、一体数万の軍を閲する機を与えてしまったのは何故か。眼前の将、かつては共に偉大な王の下に仕えた身ではあるが、これを破り去らぬ内は全く枕を高くして眠るなどという事は叶わぬ。今日捨て置けば、明日にも彼が為に己の王国は砂の如く崩れ去ってしまうより他は無い-

ハカマニシュ家の栄光揺蕩う高原の丘陵から、将軍の隻眼は、遥かに展開された白銀の盾を睨みつけていた。


西紀前323年、アレクサンドロス大王は、果てしなき征服と冒険に満ちた生涯をバビュロンにて閉じました。残された広大すぎる帝国は、マケドニアの遺将たちによって分割され、早くも東地中海から中東は群雄割拠の様相を呈しはじめたのです。
この混迷の内からまず抜け出たのが、帝国軍司令・フリュギア太守アンティゴノスです。
彼は王室護持を掲げる前王室秘書官・カッパドキア太守エウメネスをノラの城砦に包囲し、残敵の掃討にかかりますが、エウメネスは密かに帝国摂政と組んで攻囲を脱出。メソポタミアで兵馬を募り、彼の下には東方太守をはじめ大王の東征を支えた精鋭兵が集います。
一方、彼を急追したアンティゴノスは、小アシアを地盤にシュリア、高地太守領をかため、ついに両者はティグリス河北岸、パラエタケネの地にて激突する定めとなったのです。時に西紀前317年の事でした。


各プレーヤーは後継者戦争を駆け抜けた軍閥の将となって、互いの軍団と雌雄を決すべく行動します。
2人でプレイする場合は、両者はアンティゴノスとエウメネスを、4人の時は互いの同盟太守を加えてのチーム戦となります。

多くの作戦級ウォー・シミュレーションでは、戦場には既にいくばくかの初期兵力が存在するか、あるいは両軍が戦列を整えて対峙し合っているところから開始されますが、このゲームでは、両者の手足となる部隊を展開する行為そのものが、駆け引きを孕んでいるのです。

この後継者戦争という闘争は、世界史上にも類例の少ない超大規模内戦とでも言うべきものであり、その為両軍の用いた兵種は大変似通っています。しかし、互いの政治的、地政学的状況により、呼集可能な兵士には差異があります。部隊は1つのデックから供給されますが、一方の陣営には配備できないカードも存在するのです。

一旦戦闘に突入すれば、もう兵員を増やすことはかないません。互いの戦列を前進させて、敵兵に後退を強いる事を目的とします。

重装歩兵同士の戦いでは一進一退の攻防となるかも知れませんが、騎兵の機動性には常に注意が必要です。側面を衝かれれば、いかに強兵といえども持ち堪えるのは難しいでしょう。
東征の成果とも称される戦象たちは頼もしい打撃力の持ち主ですが、いざ受身に回ると、意外に脆い生き物でもあります。
20種におよぶ戦術カードは、じっと伏せられたまま、発動の時を待っています。
無論ですが、あなたの分身たる指揮官の身は何より重要です。彼らの生死とは、そのまま戦の勝敗を表すものなのですから。


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